愛染堂・聖天堂

所在地 高尾山1号路
祭 神 愛染明王、十一面観音、歓喜天
ご利益 良縁成就、縁結び、夫婦和合、諸縁吉祥

手前の赤いお堂が愛染堂(平成六年建立)、奥が聖天堂(平成九年建立)。
倶利伽羅堂、八大龍王堂
と共に第三十二世隆玄貫首の発願です。
これら四つの堂宇は平成五年暮から平成九年にかけて立て続けに建立されており、いずれもこれまでの高尾山にはなかった「恋愛成就」「縁結び」系の路線を狙ったものと思われます。

愛染堂には全身深紅の愛染明王が祀られています。
なんと、愛情や情欲の神様(正式には仏様)で、仏教用語でよく聞かれる「煩悩即菩提」の教えのご本尊です。
六本の手(六臂=ろっぴ)に武器や法具を持ち、獅子の冠を被っています。怖ろしい顔からはとても恋愛の神様とは想像できませんね。
しかし、その名から染め物関係者からの信仰も篤いということです。

聖天堂には歓喜天が祀られているはずですが、この神様は非常に気難しく凶暴なせいもあってか一般に「秘仏」とされています。
その姿は二臂や六臂がありますが、頭が「象」なのです。
二体で抱き合っている像もありますが、その場合は必ずどちらかが相手の足を踏んでおり、踏んでいる方は十一面観音、踏まれている方が歓喜天です。
歓喜天はかつて極悪神だったのですが、女体に変身した十一面観音に一目惚れし、その身体を抱かせてもらうかわりに仏教に帰依したという曰くがあるのです。歓喜の極みというわけです。

薬王院は真言密教のお寺ですが、修験の山としてのイメージ作りにも力を入れています。
火渡の祭りや、次々に山内に天狗像を建立しているのもその現れです。この愛染明王も歓喜天も修験道においては重要な神様とされています。
しかし、私は初めてこの二つのお堂が並んでいるのを見たとき、思わず「ここは立川流か!」と叫んでしまいました。
それが結果的には拙書『スキャンダラスな神々』を書き始めるきっかけになったわけですから、愛染明王にも歓喜天にも感謝しなければなりません。

倶利伽羅堂、八大龍王堂、愛染堂、聖天堂、そして大黒天と巡れば「縁結びツアー」も完結です。この四堂を巡って、想いを寄せている相手との恋愛が成就された方…いらっしゃいましたらぜひご一報ください(できれば写真など添えて)。

愛染明王はガラスのケースに収められていますが、ほとんど御開帳されています。大本堂に向かって右手の小堂に鎮座されていますから、ぜひお詣りしてください。


キンキラの垂れ下がった鈴が可愛い。
じつは愛染明王の六本の手のうち、空の手が一つあるはずなのですが(だいたい左の一番上)薬王院の像は珠を持っています。これは外せるのかも知れません。
…で、この手に「思う相手の名前を書いた紙」を握らせて祈るのです。
また、愛染明王真言(呪文) 「オン マカラギャ バゾロウシュニシャ バザラサトバ ジャクウン バンコク」を30万回唱えると、どんな相手からも愛されるようになるといわれていますが…私はそれほどの努力をするほどなら、その分自分を磨いた方が良いかと思います。

歓喜天はインドなどでは商売の神、ガネシャ(ガナーシャ)として大衆に愛されています。日本の生駒山や待乳山の「聖天さん」も人気があります。でも日本ではどうして秘仏なのかというと、双体(抱き合っている)像がエロチックだからでしょう。歓喜天の供養法は秘中の秘となっており、この像に油を浴びせる方法などがあるといいます。


この可愛い鍵と賽銭入れは巾着の形をしています。そこから商売繁盛の神様として信仰されているわけです。
ところでかつての歓喜天
の好物は大根と肉でした。それで…じつは大根とは女体のシンボルなのです。極悪時代には人肉まで食べていたという噂です。
…で、何が言いたいかと申しますと、この巾着は「子宮」なのですね。
そしてこの巾着そっくりに作った「歓喜団(モーダカ)」というお菓子を供物として捧げるのが正式なのですが、それを持ち帰って他人に食べさせると、その人の財産を自分のモノにすることが出来ると信じられているのです。
結構怖ろしい神様ですね。まさに「スキャンダラスな神さま」なのです。
別名「エロ神さま」といわれる所以でもあります。

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