飯縄権現堂

所在地 高尾山1号路
祭 神 飯縄大権現、弁財天
ご利益 諸願成就

高尾山のメインとなる堂宇は大本堂なのでしょうが、この飯縄権現堂は華麗さにおいては山内一といっても過言ではありません。
拝殿、幣殿、本殿が一体となった権現造りで壁面に施されている見事な彩色彫刻は、規模では及ばないものの日光の東照宮に比べても見劣りしません。
それもそのはずで昭和27年に東京都の有形文化財に指定されています。
本殿にはご本尊の飯縄大権現が安置されていますが、秘仏とされており開帳されていません。

本殿の建立は江戸時代の享保14(1729)年。拝殿と幣殿は宝暦3(1753)年、文化2(1805)年に大改修がなされ、昭和40(1965)年に大修理、平成10(1998)年に再び大改修が行われています。

歴史があるだけに「耳付き板」などの伝承もあります。
この話は、ある時盗賊が堂の中の様子をさぐるため壁の羽目板に耳を付けていたところ、耳が板から離れなくなってしまい、ついには自らの耳を切り落として逃げたということです。
しかしそれでは昔話とするには凄惨すぎるからでしょうか、別の展開もあって、盗賊が困り切っているところに高僧が現れ、経を唱えたところ耳が離れたというパターンもあります。
一説にはその板は今でも堂の中に残っているということですから、やはり耳が付いたままという結果の方が、わざわざ板が残らなければならない理由にはならないでしょう。

すぐ下の大本堂に比べると、ここには小さな売店が一軒あるだけで比較的静かです。平日などは聖域の風格も感じられます。

じつは拝殿正面には注連縄が下げられており、壁面には道教の神仙思想に見られる仙人の像が彫り込まれ、正面には大きな香炉がデンと座り、その両脇には天狗がいる…という具合で、あらゆる神々がごちゃ混ぜになった不思議な雰囲気があります。

この雰囲気は「神様ならどちら様でも大歓迎」といった日本人の宗教観を表していて私は好きです。
ただし、大きな声で「なんでお寺に注連縄があるのぉ?」なんて口に出してはいけません。
売店に座っている社務所のおじさんにギョロリと睨まれ、「うちには神官はおりませんので、ここは寺院デス」と言われてしまいます。いや、言われてしまいました…。

正面の大香炉がなければ立派な神社です。…いや、ここは修験の山でしたから最初に建立した時からこだわりはなかったのでしょう。そもそも権現造りという建築形式は神仏習合のシンボルともいえるべきものなのです。もともと飯縄大権現は飯縄大明神と呼ばれていますから…。

右が大天狗(鼻高天狗)。左は小天狗(カラス天狗)です。大天狗のほうが格上と思われがちですが、カラス天狗のほうが天狗界では先輩なのです。高尾山の天狗も昔はカラス天狗でした。それよりなにより、ご本尊の飯縄大権現のお顔はカラス天狗なのです。

正面横にまわると長い龍が彫られています。これは一本のケヤキから彫られたものだそうです。そう聞いてから見ると結構感動します。

権現堂拝殿内部。中央に立派な護摩壇がありますが、都の有形文化財に指定されてしまっては、もはや護摩の火は焚けないのかも知れません。

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