戸隠 九頭龍社

所在地 長野県上水内郡戸隠村
祭 神 九頭龍大神(くずりゅうのおおかみ)
ご利益 水分神、水口神、雨乞い、五穀豊穣、虫歯

九頭龍大神は、奥社の祭神・天手力男命(あめのたじからおのみこと)が鎮座される前から戸隠山を治めていた神。つまり地主神ということですが、古代においてはこのように大蛇(おろち)が山の主であった場合が多いようです。もともと「龍」とは大陸から入ってきた観念ですから、本来は「八股のおろち」のような存在だったのでしょう。

九頭龍は後に、飯綱山や戸隠山を開山したといわれる修験僧・学問行者に封じ込められたのですが、じつは今でもこの地の岩窟に生きているといいます。ですから、この神社の御神体そのものも岩なのです。一説では「龍」ではなく「鬼」だともいわれています。周辺には鬼の伝説も多くあり、これは反体制の一族や落人(おちうど)が住みついていた史実の名残ではないかと分析する研究者もいます。

龍は水の神、農耕の神ですから九頭龍社は現在でも全国の農家から信仰を集めています。上の写真の注連縄(しめなわ)を見てください。形がちゃんと龍になっています。また、この神に梨を供え、自らは梨断ちをすれば虫歯に霊験あらたかだそうです。

結局この地では、古来ここを支配していた神(民俗)が天孫系(天手力男命)の神に征服され、さらに仏教(学問行者)に帰依したという日本の信仰スタイルがそのまま表れているのです。それでもちゃんと存在を否定されずに地主神として祀られているところも、いかにも日本人の信仰スタイルらしいのです。

九頭龍神社の起源は、学問行者がこの地で修験を始めた嘉祥2(849)年頃といわれています。本地(日本古来の神は、じつは仏教の神だったのだという理屈)は、やはり仏教系の水神である弁才天です。

ここにも彫印のある石柱があります。ちゃんと頭が九つあり、下の絵馬に比べると迫力があります。

奥社への参道入り口付近から望む戸隠山です。
古人が、この荒々しいけれども水を恵んでくれる山容を龍に見立てた気持ちが良くわかります。

九頭龍神社から階段を数段上がれば奥社です。これはその階段のすぐ脇にある石碑と石塔。
バックの岩塊、石の彫り物、積み小石…日本人の「石への信仰心」がここに凝縮されています。

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